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値上げの“落とし穴”〜②

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値上げ相談で最も多い「間違い」

1年ほど前から増えてきた値上げ相談。その中で、最も多いのが『毎回の窓口料金(一部負担金)をアップする』という案。深掘りすると、患者全員一律「⚫︎⚫︎円の値上げ」という案が圧倒的。

しかし、ここで柔整業界の「不思議な慣習」が露わになります。

開業や新店舗オープンの際、なぜか「一部負担金の金額」だけを設定していませんか?

大手も個人も含め、特に、窓口負担金を定額(1割:200円、2割:300円、3割:600円など)に設定している院ほど、この傾向が強く見られるかと思います。

「近隣の院がこれくらいだから」「働いてた院がこうだったから」……そんな理由で窓口の金額を決めてしまう。実はこれこそが、論理崩壊の入り口なのです。


「そもそも論」で考える一部負担金の原理

ここで一度、「そもそも論」を確認しましょう。

一部負担金とは、独立した数字ではありません。

【当院の療養費(10割価格)】があり、そこに【負担割合(1〜3割)】を乗じることで、結果として勝手に出てくる数字。それが一部負担金です。

にもかかわらず、多くの現場では10割の概念を無視して「窓口をいくらにしようか?」という議論が先行します。

これを10割に逆換算してみると、負担割合ごとに「10割の施術料」がバラバラという、極めて非論理的な費用徴収が行われている実態に気づけるかと思います。

「10割」という基準がない値上げは、ただの「思いつき」に過ぎません。


一律値上げが引き起こす「パーセントの狂い」

この「原理」を無視して、窓口料金を一律で値上げするとどうなるか。

具体的な例を見てみましょう!

例えば、現在一律「50円」の値上げを検討していると仮定。

負担割合 現行料金 値上げ後 値上げ率
1割負担 200円 250円 25.0% UP
2割負担 400円 450円 12.5% UP
3割負担 600円 650円 8.3% UP

どでしょか。おかしいと思いませんか?

同じ50円の値上げでも、1割負担の高齢者にとっては、3割負担の若年層に比べて「3倍」も過酷な値上げ率になっているのです。

「物価高だから一律50円アップ」という説明は、一見公平に見えます。しかし論理的に分解すれば、「支払い能力が低い可能性のある高齢者から、最も高い率で追加徴収する」という、極めて歪な構造であることが理解できるはずです。

よしっ!じゃぁ「1割:20円・2割:40円・3割:60円」なら同率だから論理崩壊しないな!という考えも出てくるかもしれませんが、10割価格があり、そこに【負担割合(1〜3割)】を乗じることで、結果として勝手に出てくる数字。それが一部負担金ということがそもそも論なので、「一部負担金を値上げする」という発想が論理崩壊じゃね?ということです。


論理なき値上げは「刃」になる

2019年に行われた消費増税「8% → 10%」の際、Nという地方の接骨院で、増税に便乗して窓口一律100円アップを実施し、患者数1/3が見事一気に減った。という事例があります(実際の相談事例)。患者さんは、療養費のことは知らなくても、「直感的な不条理」には敏感です。先生が守りたいのは、院の利益だけですか?

中学生でもわかる算数の理屈で矛盾を突かれたとき、返せる言葉がない値上げは、いつか先生の信用を傷つける「刃」になるかもですよ。

まずは「窓口をいくらにするか」を捨て、「何がどうだからこの価格に転換する」という、論理の出発点に戻るべきです。

……さて、値上げの“落とし穴”はこれだけではありません。

次回も続けてツッコミます。

続く

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