令和8年7月1日から柔道整復療養費の算定ルールが大きく変わりました。
しかし、ここ数日、多くの柔道整復師の先生から同じような質問をいただいています。
- 「7月1日に来た再患は、もう初検料は算定できないですよね?」
- 「1か月以上3か月以内なら再検料からですよね?」
- 「6月に初検だった患者さんが、3回目だけ7月になれば2回目再検料ですよね?」
実は、これらはすべて同じ勘違いから生まれています。
その原因は、令和8年6月1日付通知に記載された「経過措置」の読み違いです。
今回は、この経過措置を整理しながら、初検料・再検料の考え方を解説します。
まず確認したい「経過措置」の一文
令和8年6月1日付通知には、次のように記載されています。
なお、改正後の第2の1及び第4の3に係る取扱いについては、令和8年7月1日以降に負傷の治癒又は施術の中止があった場合について適用する。
この一文を見て、皆さんは何を基準に制度が切り替わると考えましたか?
「7月1日に来院した日」でしょうか?
それとも「新たな負傷日」でしょうか?
答えは違います。
通知が基準としているのは、前回の負傷が『いつ治癒したのか』『いつ施術を中止したのか』です。
つまり、新ルールか旧ルールかは来院日では決まりません。
前回の負傷が終了した日で決まります。

なぜ現場で勘違いが起きるのか
多くの先生は、「7月1日」という日付だけを見てしまいます。
その結果、今日の来院日だけで判断してしまうため、次のような誤解が生じています。
- × 7月1日の再患からは3か月空いていないと初検料が算定できない
- × 7月1日の再患からは1か月以上3か月以内なら再検料から算定する
- × 6月に初検だった患者で3回目だけ7月なら2回目再検料が算定できる
しかし、通知はそのようなことを言っていません。
通知が見ているのは、前回の負傷がいつ終了したのかです。
事例① 6月30日までに前回の負傷が終了し、7月1日以降に新たな負傷で来院した場合
初検料は算定できます。
前回の負傷は6月中に終了しています。
つまり、その負傷には旧ルールが適用されます。
そのため、新たな負傷については初検料から算定できます。
事例② 6月10日に前回の負傷が終了し、7月2日に新たな負傷で来院した場合
この場合も初検料から算定できます。
「1か月空いていないから再検料」という考え方は誤りです。
前回の負傷は6月中に終了しているため、このケースも旧ルールで判断します。
つまり、再検料ではなく初検料から算定します。
事例③ 6月30日までに初検を受け、2回目・3回目が7月になった場合
2回目再検料は算定できません。
初検が旧ルールで始まった負傷である以上、その負傷全体が旧ルールで取り扱われます。
途中で7月になったからといって、新ルールへ切り替わるわけではありません。
事例④ 6月中に初検を受け、3回目だけ7月1日以降となった場合
こちらも考え方は同じです。
2回目再検料は算定できません。
「3回目が7月だから新ルール」という考え方ではなく、その負傷自体が旧ルールで始まっているためです。
重要なのは「来院日」ではなく「負傷の終了日」
今回の経過措置で最も重要なのは、制度の切り替え日ではありません。
前回の負傷がいつ終了したのか。
この一点だけです。
受付日や来院日だけで判断してしまうと、初検料・再検料ともに誤った算定となる可能性があります。
受付スタッフを含め、院内全体でこの考え方を共有しておく必要があります。
まとめ
- 新ルール・旧ルールは7月1日の来院日では判断しない。
- 判断基準は「負傷の治癒又は施術中止日」である。
- 6月中に終了した負傷には旧ルールを適用する。
- 途中の来院日が7月になっても自動的に新ルールへ変わるわけではない。
- まずは「この負傷はいつ終了したのか」を確認してから初検料・再検料を判断することが重要である。
今回の改定では、料金改定以上に「制度の考え方」が変わりました。
通知の一文を正しく読み解くことで、受付対応やレセプト請求の誤りを防ぐことができます。
今後も令和8年柔整療養費改定について、現場で迷いやすいポイントを原理原則から解説していきます。