正攻法で保険請求と接骨院経営を変える柔道整復師のための実践コミュニティ

柔整Masters

代表ブログ

令和8年柔整療養費改定|保険給付とは誰のための制度なのか?自己・自家施術が支給対象外となる本当の理由

投稿日:

※この記事は、自己・自家施術の是非を論じる記事ではありません。

今回お伝えしたいのは、令和8年柔整療養費改定において、なぜ自己・自家施術が論点となったのか、その背景にある「保険給付とは誰のための制度なのか」という原理原則です。

制度の趣旨を理解すると、今回の改定は単なるルール変更ではなく、柔道整復師としての保険取扱いの原点を改めて問いかける改定であることが見えてきます。

この記事で分かること

  • 令和8年7月の柔整療養費改定で、自己・自家施術がなぜ論点になっているのか
  • 「自家施術は悪なのか?」ではなく、「保険給付とは誰のための制度なのか」という本質
  • 負傷名と支給対象の違い
  • 療養費制度における“療養”の意味
  • なぜ自家患者の保険請求が“営利化”と見られる可能性があるのか
  • 柔道整復師が7月改定以降に見直すべき保険取扱いの考え方

令和8年柔整療養費改定|自己・自家施術はなぜ支給対象外へ向かうのか?保険給付とは誰のための制度なのか

今回は、令和8年7月の柔整療養費改定の中でも、かなり重要な論点である「自家施術」について解説します。

ただし、今回の記事は単に、

「自家施術がどうなるのか」
「自家施術が保険適用外になるのか」
「家族やスタッフへの施術は請求できなくなるのか」

という表面的な話だけをするものではありません。

今回、本当に考えなければならないのは、もっと根本的な部分です。

保険給付とは、誰のために存在する制度なのか。

ここを理解しないまま通知や改定内容だけを追いかけても、今回の改定の意味は見えてきません。

自家施術が悪いのか。

家族やスタッフに施術することが問題なのか。

僕は、そこが本質だとは考えていません。

今回問われているのは、柔整師が保険給付をどのように理解し、どのような倫理観で保険請求を行っているのかという点です。

では、SNSの続きを漫画を使いながら順番に整理していきます。

今回の改正は「自己・自家施術そのもの」を否定しているわけではない

まず大前提として、自己施術や自家施術そのものが、ただちに悪という話ではありません。

自分自身の身体をケアすること(自己施術)。

家族に施術を行うこと(自家施術)。

スタッフに施術を行うこと(自家施術)。。

これ自体は、施術行為として見れば当然あり得ます。

柔道整復師であれば、自分の家族や近しい人から相談を受けることもあるでしょう。

問題は、そこに保険給付を使うことが妥当なのか、という点です。

つまり、論点は「施術してよいかどうか」ではありません。

論点は、

その施術が療養費の支給対象として適切なのか。

ここです。

漫画でも、ヌケサク院長は最初に「骨折・脱臼・捻挫・打撲・挫傷などの外傷であれば支給対象ですよね」と考えています。

一見、間違っていないように見えます。

しかし、ここに大きな落とし穴があります。

「負傷名」と「支給対象」は同じではない

柔整療養費を考えるとき、多くの先生が最初に見るのは負傷名です。

骨折・脱臼・捻挫・打撲(挫傷)。

たしかに、これらは柔整療養費において重要な要素です。

しかし、負傷名があることと、療養費の支給対象になることは同じではありません。

ここを混同すると、保険請求の考え方が一気に危うくなります。

負傷名は、あくまでも「何が起きたのか」を示すものです。

一方で支給対象とは、

その施術が、療養費制度の趣旨に照らして保険給付として認められるものかどうか

という判断です。

つまり、負傷名だけを見て、

「捻挫だから請求できる」
「打撲だから請求できる」
「挫傷だから請求できる」

と考えるのは、非常に浅い理解です。

必要なのは、

その負傷に対する施術が、患者の療養のために必要な保険給付なのか。

ここまで考えることです。

柔整療養費は「外傷患者の療養」のためにある

柔整療養費は、施術所の売上を守るための制度ではありません。

柔道整復師を儲けさせるための制度でもありません。

外傷患者の療養を支えるための制度です。

ここを外してはいけません。

療養費制度における主役は、施術所ではありません。

柔道整復師でもありません。

患者です。

患者が外傷を負い、その回復のために必要な施術を受ける。

その療養を保険給付として支える。

これが制度の原点です。

だからこそ、漫画の中で仙人はこう言っています。

「柔整療養費は、外傷患者の療養のために支給される制度じゃ。」

ここが今回の記事の中心です。

自家施術の話に見えて、実は問われているのは、

療養費制度を、患者の療養のための制度として見ているのか。

それとも、

施術所経営の売上補填の制度として見てしまっているのか。

という違いです。

「支給対象外になれば売上が減る」という発想の危うさ

今回の改正を見たとき、現場では当然こういう声が出ると思います。

「自家施術が支給対象外になると売上が下がる」

「家族やスタッフの施術分が請求できなくなると経営に影響する」

「毎月通っている身内の分がなくなると痛い」

経営者として、その感覚自体は分かります。

売上が減る可能性があるなら、経営に不安を感じるのは当然です。

しかし、ここで一度立ち止まる必要があります。

そもそも、患者の療養を支えるための保険給付を、施術所の売上として最初から組み込んでいなかったか。

ここです。

もし、自家施術が請求できなくなることで大きな売上減になるとしたら、その院では自家施術が経営構造の一部になっている可能性があります。

そして、その構造こそが今回問われているのです。

本当に毎週2回、毎月、何年も療養が必要なのか

ここからが、今回の記事で最も重要な部分です。

自家施術患者が毎週2回通院している。

毎月通院している。

人によっては何年も続いている。

では、その患者は本当に毎週2回、外傷の療養として施術が必要なのでしょうか。

もちろん、必要なケースはあるかもしれません。

しかし、柔整療養費の原則から考えるなら、常に問われるべきは、

その施術は、外傷の治癒に向けた療養なのか。

という点です。

単に、

「痛いと言っているから」
「近いから来やすいから」
「家族だから」
「スタッフだから」
「ケアとして必要だから」

という理由だけでは、保険給付としての説明にはなりません。

療養費制度における“療養”とは、外傷が治るためのものです。

通わせ続けることではありません。

ここを間違えると、療養費は本来の姿から離れていきます。

療養とは「通院を続けること」ではない

療養という言葉を、現場では少し曖昧に使ってしまうことがあります。

しかし、柔整療養費における療養とは、単に患者が通院することではありません。

患者が外傷から回復するために、必要な施術を受けることです。

つまり、通院そのものが目的ではありません。

治癒に向かうことが目的です。

ここを誤ると、

ケガをしたから通院する

ではなく、

通院するためにケガが必要になる

という逆転現象が起きます。

これが非常に危険です。

保険請求のために負傷が存在するのではありません。

外傷患者の療養を支えるために保険給付があるのです。

「営利化」とは何か

今回のテーマで避けて通れないのが、営利化という考え方です。

営利化という言葉だけを見ると、かなり強い表現に感じるかもしれません。

しかし、ここで言われている本質は単純です。

患者の療養のためではなく、施術所の経営を守るために保険請求を行う。

この構造が問題なのです。

たとえば、自家施術患者が毎月一定回数通院する。

家族やスタッフなど近しい関係者が継続的に来院する。

その分の療養費請求が、院の売上の一部として見込まれている。

そして、その請求によって経営が支えられている。

この状態になると、保険給付の目的がズレてしまいます。

本来は、患者の療養のための請求です。

しかし実態としては、経営を守るための請求になってしまう。

このズレが、自家患者の営利化という問題意識につながるのです。

今回の改正は「営利目的の自家施術」を防ぐためのもの

誤解してはいけないのは、今回の改正が自己・自家施術そのものを否定しているわけではないという点です。

家族を助けたい。

スタッフの身体をケアしたい。

近しい人を施術したい。

その気持ち自体は自然です。

問題は、そこに公的な保険給付を使うことです。

特に、経営者自身の家族やスタッフに対する施術が、反復継続的に保険請求され、それが売上の一部として組み込まれている場合、制度の趣旨から見て疑問が生じます。

保険給付は、感情で使うものではありません。

近しい関係だから認められるものでもありません。

患者の療養として必要であり、制度の趣旨に沿っているから認められるものです。

自家患者から一部負担金を毎回徴収しているか

今回の話で、もう一つ重要なのが一部負担金です。

自家施術患者に対して、毎回きちんと一部負担金を徴収しているのか。

ここも非常に重要な視点です。

もし、家族だから、スタッフだから、近しい関係だからという理由で一部負担金を曖昧にしているのであれば、それはさらに問題を大きくします。

保険請求だけを行い、患者負担を曖昧にする。

これは、制度の公平性という観点から見ても説明が難しくなります。

保険給付は、施術所に入るお金ではありますが、その原資は公的な保険財源です(公費[国・地方]、保険料)。

そこに患者の一部負担金が組み合わさって、制度が成り立っています。

にもかかわらず、近しい関係者だからという理由で患者負担を曖昧にし、保険請求だけを行うのであれば、それは制度の信頼性を損なう行為になりかねません。

制度が変わったのではない。問われているのは経営倫理である

今回の改正を、単なるルール変更として受け止めてはいけません。

もちろん、実務上はルール変更です。

請求できるか、できないか。

対象になるか、対象外になるか。

現場としては、そこを確認する必要があります。

しかし、本当に重要なのはその先です。

今回問われているのは、柔道整復師の経営倫理です。

保険給付を、患者の療養のための制度として扱っているのか。

それとも、経営を守るための売上装置として扱っているのか。

この違いです。

制度が厳しくなった。

柔整師が狙われた。

請求できるものが減った。

そのように捉えることもできます。

しかし、僕はそうではなく、

制度の原点が、改めて示された

と考えています。

保険給付とは、患者を治すためにある

最後に、もう一度原点に戻ります。

保険給付とは、誰のために存在する制度なのか。

答えは明確です。

患者のためです。

患者の療養を支えるため。

外傷からの回復を支えるため。

必要な施術を受ける機会を保障するため。

そのために保険給付があります。

柔道整復師を儲けさせるためではありません。

施術所の売上を維持するためでもありません。

自院の経営を守るために、近しい関係者を継続的に通院させ、その保険請求を売上に組み込む。

それは、患者の療養ではなく、経営のための保険請求です。

ここを間違えると、療養費は療養ではなく、営利に変わってしまいます。

そして、その積み重ねが制度批判につながります。

令和8年7月改定で本当に見直すべきこと

令和8年7月改定で見直すべきことは、請求項目だけではありません。

料金表だけでもありません。

受付説明だけでもありません。

本当に見直すべきなのは、保険取扱いに対する考え方です。

なぜ、その患者に施術が必要なのか。

なぜ、その通院頻度が必要なのか。

なぜ、その施術が療養費の支給対象になるのか。

なぜ、その請求が患者の療養のためだと言えるのか。

ここを説明できなければなりません。

これからの柔整師に必要なのは、単に通知を読む力ではありません。

制度の趣旨を理解し、現場の運用に落とし込み、患者にもスタッフにも説明できる力です。

令和8年7月以降は、ますますこの力が重要になります。

Q&A

Q1. 自己施術や自家施術そのものが禁止されるということですか?

いいえ。今回の本質は、施術そのものを否定することではありません。

問題は、その施術を療養費の支給対象として保険請求することが妥当なのか、という点です。

自社・自院の施術に対して“支給対象外”なので、他院受療は原則可能です。

Q2. 家族やスタッフに施術することは悪いことですか?

悪いことではありません。

家族やスタッフの身体をケアすること自体は自然なことです。

ただし、そこに保険給付を使う場合には、患者の療養として必要な施術なのか、制度の趣旨に沿っているのかを慎重に考える必要があります。

Q3. 負傷名があれば療養費の支給対象になりますか?

負傷名があることと、療養費の支給対象になることは同じではありません。

骨折・脱臼・捻挫・打撲・挫傷などの負傷名があったとしても、その施術が制度趣旨に沿った療養であるかどうかが重要です。

Q4. なぜ自家施術が“営利化”と見られるのですか?

患者の療養ではなく、施術所の売上維持や経営補填のために保険請求が行われているように見える場合、保険給付の趣旨から外れてしまうためです。

特に、家族やスタッフなど近しい関係者の継続的な請求が経営構造に組み込まれている場合、制度上の疑義が生じやすくなります。

Q5. 令和8年7月改定に向けて、現場では何を見直すべきですか?

まず見直すべきは、保険請求に対する考え方です。

そのうえで、自己・自家施術の取扱い、一部負担金の徴収、通院頻度の妥当性、施術録の記載、患者説明、受付説明を整理する必要があります。

まとめ|保険給付とは誰のための制度なのか

今回の令和8年柔整療養費改定は、単なる自己・自家施術の取扱い変更として見るべきではありません。

もっと根本にあるのは、

保険給付とは誰のために存在する制度なのか。

という問いです。

保険給付は、患者の療養を支えるためにあります。

施術所の売上を守るためにあるのではありません。

柔道整復師を儲けさせるためにあるのでもありません。

自己・自家施術そのものが問題なのではありません。

問題は、患者の療養ではなく、経営を守るための保険請求になっていないかということです。

ここを見誤ると、療養費制度は本来の意味を失います。

そして、制度批判を招きます。

令和8年7月改定は、私たち柔道整復師に対して、改めて原点を問いかけているのだと思います。

療養とは何か。

保険給付とは何か。

患者のための制度とは何か。

この原理原則を理解せずに、これからの保険取扱いを続けることはできません。

7月からの改定に向けて、単に「請求できる・できない」を覚えるだけでなく、制度の趣旨からしっかり学び直していきましょう。

柔整療養費の取扱いは、これからさらに知識と説明力が問われる時代に入ります。

通知を読むだけでは足りません。

制度を理解し、患者に説明し、現場で正しく運用する力が必要です。

だからこそ、7月以降も一緒に学び続け、保険取扱いを強化していきましょう。

正しく理解し、正しく請求し、患者のために制度を使う。

それが、これからの柔道整復師に求められる保険取扱いの原理原則です。

```

-代表ブログ

Copy Protected by Chetan's WP-Copyprotect.

Copyright© 柔整Masters , 2026 All Rights Reserved Powered by STINGER.