令和8年度柔整療養費改定の中で、多くの柔整師が注目しているのが「2部位目80/100逓減」です。
クリックして260605_kaitei01.pdfにアクセス
SNSやセミナーでも話題になるのは、
「2部位請求が減額される」
という部分でしょう。
確かに間違いではありません。
しかし、本当にそれだけでしょうか。
僕は今回の改定で本当に影響を受けるのは、むしろ3部位以上を請求している施術所ではないかと考えています。
なぜなら、多くの施術所が無意識に行っている「治癒転帰」が、今回の2部位逓減と深く関係しているからです。
本当に2部位患者だけが対象なのか?
令和8年7月から、後療料、冷・温罨法料、電療料について、2部位目は80/100、3部位目は60/100で算定されることになります。
そのため、多くの先生は、
「2部位患者が減算となる改定」
と理解しています。
そして、
「うちは3部位以上の請求もあるから関係ない」
と考えているかもしれません。
しかし、本当にそうでしょうか。
ここで一つ質問です。
その治癒転帰、根拠ありますか?
本当に症状が消失しましたか。
それよりも、
「そろそろ3か月前後だから」
ではないでしょうか。
もちろん、症状が改善し事実として治癒したのであれば問題ありません。
しかし柔整業界には、継続月3か月前後で治癒転帰を付ける習慣があります。
実際、厚生労働省の資料でも3か月付近で治癒転帰が集中していることが示されています。
つまり、多くの施術所で、
「長期前後だから“請求を終わらせる”」
という運用が行われている可能性があるのです。
もし症状が残っているのであれば、なぜ治癒転帰を付けたのでしょうか。
もし症状が残っているのであれば、その部位は継続請求のはずです。
今回の改正は、単純に2部位患者の料金が下がる話ではありません。
僕には、
「その治癒転帰は本当に事実ですか?」
という問いを投げ掛けているように見えます。
3部位患者を自ら2部位患者へ変えていないか
例えば、腰部・背部・上腕部の3部位で施術している患者がいたとします。
そして継続3か月目前後で、
- 腰部に治癒転帰
- 数日後に背部へ治癒転帰
- 結果として上腕部のみが残る
このような算定パターンは決して珍しくありません。
しかし、この時点で患者はどうなっているでしょうか。
先生方は「3部位請求」のつもりでも、実際には3部位請求ではなくなっています。
腰部に治癒転帰を付けた瞬間から2部位です。
さらに背部へ治癒転帰を付けた瞬間から1部位。
つまり、経過に合わせて、自ら3部位請求を2部位請求へ、さらに1部位請求へ変えていることになります。
今回の改定でのポイントはここです。
多くの先生は、
「2部位請求をしている患者が逓減される」
と認識しています。
しかし実際には、
「自ら3部位算定を2部位算定に変え、逓減を招いている」
可能性があるのです。
添付図のように月末へ向けて転帰を分散して付けた場合、治癒転帰以降の通院日数分だけ算定損失が発生します。
長期逃れの前倒し転帰
と呼んでいます。
後療三法676円換算で考えれば、その損失は決して小さくありません。
しかし本当に重要なのは金額ではありません。
その転帰が患者の状態を正しく反映しているのかという点です。
なぜなら、もし症状が残っているのであれば、その損失は制度改定によって生じたものではなく、自ら作り出している損失だからです。
今回の改定で問われているのは算定手法ではない
今回の令和8年度柔整療養費改定を見ていると、単なる金額・ルール改定とは思えません。
むしろ、
「その治癒転帰は本当に事実ですか」
「その施術継続は本当に必要ですか」
「その施術回数は本当に必要ですか」
という部分が問われているように感じます。
これまで当たり前に行われてきたレセプト業務。
これまで疑問なく行われてきた転帰処理。
令和8年度改定は、その一つ一つを見直すタイミングなのかもしれません。
先月・先々月の“初検以降3~4か月継続来院患者”のレセプトを10枚だけ見返してみてください。
その治癒転帰は、本当に症状消失によるものでしょうか。
それとも、
「長期前後だから」
という理由で付けられたものでしょうか。
もし後者が含まれているのであれば、今回見直すべきなのは2部位目80/100逓減への対応だけではありません。
治癒転帰そのものの考え方です。
2部位逓減は本当に2部位請求患者だけの減算なのか。
3部位算定を自ら2部位算定へ変えていないか。
そして、その転帰は本当に患者の状態を反映しているのか。
令和8年度柔整療養費改正は、柔整師にその問いを投げ掛けているように思います。
関連記事
- 令和8年度柔整療養費改定|再患の定義が崩壊する?現場が今すぐ準備すべきこと
- 令和8年度柔整療養費改定|7月から初検料の考え方が変わる。今すぐ受付説明を見直さなければならない理由