※本記事は、令和8年4月30日に開催された関係委員会における「柔道整復療養費の令和8年度料金改定(案)」を基に、令和8年6月3日午前10:00時点での制度動向について考察した内容です。
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令和8年度柔整療養費改定|再患の定義が崩壊する?現場が今すぐ準備すべきこと
令和8年7月の療養費改定まで残りわずかとなりました。
今回から数回にわたり、「改定までに現場が準備しておくべきこと」を実務ベースで解説していきます。
今回の改定で最も大きく変わるのは料金ではありません。
初検料という言葉の意味そのものです。
そして、この変更はレセプト業務より先に、受付業務へ大きな影響を与えることになります。
現在の初検料は「初回検査」の対価
現在の柔道整復療養費制度における初検料は、患者が訴える症状に対して行う「初回検査」を評価する考え方が中心です。
- 外傷性が認められる場合 → 初検料+施術料
- 外傷性が認められない場合 → 初検料のみ(いわゆる無傷算定)
つまり、患者が新たな症状を訴えて来院し、その症状に対して初めて検査を行うのであれば、初検料を算定するという考え方です。
そのため現場では、
- 前回の通院終了から一定期間が経過している
- 前回とは異なる新たな負傷である
このようなケースについて、実質的に新患として取り扱われてきた施術所も少なくありません。
7月から初検料は「患者評価料」へ変わる
今回の改定案では、初検料について次のような考え方が示されています。
患者の特性等を初めて見極めるという行為を中心に評価
ここが非常に重要です。
従来の「症状を初めて検査するから評価する」ではなく、
「その患者を初めて評価すること」に対して報酬を支払う
という考え方へ大きくシフトしています。
その結果として、次のルールが新たに示されています。
- 現傷病の転帰(治癒・中止・転医)後、3か月以内に生じた傷病については初検料算定不可
- 転帰後1か月以上3か月以内に生じた新たな負傷については再検料で評価
つまり、従来のような
- 「治癒転帰後、新たな負傷に対する検査は初検料」
- 「1か月空いたから初検料」
という考え方から、
「3か月空かなければ初検料ではない」
という考え方へ変わることになります。
受付で行われていた説明はどう変わるのか
今現在、多くの施術所では、患者に対して次のような説明が行われていると思います。

この説明自体は、これまでの運用では大きな違和感はありませんでした。
しかし7月以降は事情が変わります。

改定案どおり施行された場合、初検料を算定できる基準は「1か月」ではなく「3か月」になります。
さらに、1か月以上3か月以内の新負傷については、初検料ではなく再検料で評価されることになります。
つまり受付での説明内容そのものを変更しなければなりません。
実は「7月から」ではない
ここが今回の記事で最も重要なポイントです。
多くの施術所は、
「7月1日から制度が変わる」
と考えています。
しかし、本当に変えなければならないのは受付説明です。
例えば6月10日に治癒した患者がいたとします。
その患者が7月1日以降新たな負傷で来院した場合、適用されるのは7月からの新ルールです。
つまり6月の時点で、
「最後の通院から1か月経ったら初検料からとなります」
と説明してしまうと、7月からの制度と説明内容が一致しなくなります。
言い換えると、7月から制度が変わるのではなく、患者への説明方法は既に変え始めなければならない段階に入っているということです。
【重要】
令和8年6月中の算定自体は現行ルールで行われます。
制度の適用開始は7月1日です。
しかし、受付説明の変更開始日は6月1日です。
なぜなら、令和8年6月1日以降に来院する新・再患については、その後7月以降も継続通院する可能性があるからです。
また、令和8年6月1日以降に転帰となる患者についても、その後の新負傷来院が7月以降になる可能性があります。
その場合、7月1日以降の取扱いは改定後のルールで判定されることになります。
さらに、令和8年5月31日以前に転帰となった患者であっても、7月1日以降に転帰後3か月以内の新負傷で来院した場合は、改定後ルールの対象となります。
つまり、7月以降に来院する可能性がある患者については、既に改定を前提とした説明へ切り替える必要があります。
そのため受付で、
「最後の通院から1か月経ったら再度初検料になります」
という説明を継続することは危険です。
今後は少なくとも、
「7月から制度変更が予定されているため、今後の料金については改定後のルールに基づいてご案内します」
という説明へ切り替えておく必要があります。
今すぐ準備すべきこと
受付教育、院内掲示、患者説明。
これらは通知が出てから考えるものではありません。
7月に入ってから慌てて変更するよりも先に、患者への説明ルールを統一することが重要です。
今回の改定で最初に見直すべきなのは、料金ではなく“受付トーク”かもしれません。
次回も、実務に直結する論点について考察していきます。
※本記事は令和8年度柔道整復療養費改定案に基づく考察であり、現時点では厚生労働省から正式な通知・通達は発出されておりません。今後の通知や疑義解釈等により運用が変更される可能性があります。また、本記事は制度案に対する考察であり、特定の請求方法を推奨するものではありません。